Michelangelo Merisi da Caravaggio
Young Sick Bacchus
1593 oil on canvas 67 cm × 53 cm (26 in × 21 in)
Galleria Borghese, Rome
Mary Magdalen in Ecstacy
1606 oil on canvas 103.5 cm × 91.5 cm (40.75 in × 36 in)
Private Collection
『法悦のマクダラのマリア』
2014年に偶然発見されて以来、多くの専門家たちの間でも今だにその真性が疑われている。
少なくともこの作品には8点の違う画家によるコピー作品が存在する。
世界的なカラヴァッジョ研究の学者であるグレゴリによると、本作には随所にカラバッジョの特徴が見られ、1年間に渡る検証の結果、17世紀にまでしか使用されていないワックスが検出され、キャンバスの裏に添えられていたメモなどの客観的証拠から、75%カラヴァッジョの真筆であると結論づけられた。
それまでのコピー作品によって存在が指摘されていたオリジナルが、本作であると。
それは西洋絵画史において、稀に見る極めて重要な発見であると。
最近パリのジャクマートアンドレ美術館では、それまでオリジナルとされていた作品「クライン・マグダレナ」と2014年に発見された本作『法悦のマクダラのマリア』を同時に並べて展示し、鑑賞者に比較させるという面白い試みも行われた。
どちらがオリジナルなのか、あるいはどちらもコピーなのか。
『法悦のマクダラのマリア』はローマで殺人を犯し、事実上の死刑判決を受け、逃亡生活を始めた頃の1606年に描かれた作品とのことだが、画家が1610年に亡くなるまで手元に置かれた3点のうちの1点である。
2014年に突如として出現し、世界を騒つかせたこの絵は、どのような意図で描かれたのだろうか。 幸運にも、所有者のご厚意や関係者たちの努力によって、現在日本国内で本作を鑑賞することが出来る。
追記(9月4日)
現在、北海道立近代美術館で開催されているカラヴァッジョ展だが、到着が遅れている目玉作品『女占い師』(カピトリーノ美術館所蔵)を含む8点について、9月4日現時点で到着の目処が立っていないと公式SNS上で発表された。
主催者側は引き続きイタリアの関係先から作品を揃えられるよう働きかけるとのことだが、本物の作品を目にする機会の少ない道民にとっては関係者の努力に対する期待は大きいだろう。