POCO #24




彼女の名前はPOCO(ポコ)といいます。
POCOはもともとイタリア語で「少し」という意味があります。
音楽の記号・表記に「少しずつ、だんだん」という意味の
poco a poco(ポーコ・ア・ポーコ)というのがありますよね。
それからとりました。 このコとの出会いはペットショップでした。
たまたま何の気なしに近所のペットショップに入ったのですが
(そのペットショップは市内ではわりと有名なペットショップで生体の数も多い)、
とくに何を見るわけでもなく、陳列された子犬や子猫が視界の右から左へ流れてゆくのを
ゆっくりと歩きながら見ていました。 すべて見終わって店を出ようとしたとき、
「ありがとうございました」という店員の声でレジを振り返りました。
その奥のゲージの中に、このコは居ました。
彼女はジっと座ったまま、私を見ていました。
私は一瞬のうちに彼女の不思議なオーラに包まれて、思わず足が止まりました。 よく見るとその小さなゲージの中には、もう一匹黒いペルシャ猫が寝ていました。
「近くで見せてもらっていいですか?」と店員にきいて、
私はレジカウンターの中へ入れてもらいました。
近寄ると黒いペルシャ猫(ポコの1.5倍くらい大きく丸々と太っていた)が起き上がり、
ゲージに頭をこすり付けて愛想を振りまいてきました。
せまいゲージの中で、ポコはトイレの砂の上に座っていました。
ポコは手前で愛想を振りまく黒デブ猫を横目にアクビをし、オシッコをしだしました。 ペットショップの店主と交渉して表示の半額以下まで値切り(わりとすんなりと3万円まで)、
生後3ヶ月のこのコを飼うことにしました。 家へ連れ帰ってすぐに獣医に見せました。
まず、耳ダニがいました。痒かったに違いありません。
「拒食症なのかもしれませんが、あまりにも痩せ過ぎです」
と獣医さんは言いました。 そんな心配をよそに、ポコは一日中よく食べてくれました。 その一年後に犬と同居することになり、
犬のしつけ上、エサを与えるときには必ず「マテ」をさせるのですが、
いつもその光景を見ていたせいでしょうか、
彼女にエサを与えてもすぐには食べずに私の顔をじっと見て、待つようなりました。
「食べていいよ」といって頭を撫でると、ノドを鳴らしながら食べはじめます。
でも彼女にとって一番幸せなのは、
私が食べている横から鶏のササミをもらって食べることのようです。 ポコは今年、10歳になりました。
いまだに他の猫と比べても小さくて痩せてる猫ですが、
少しでも長く、その姿を見せ続けてほしいと思っています。






…というのはウソ…. ……..ではありません。

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