dream #2

陽が沈みかけた夕方、私は立ち上がって、何気なく窓の外を眺めた。 すると前方左側100メートル程離れたところに、巨大な岩のような物体が出現していた。 岩のような物体は、薄い灰色と濃い灰色の上下二層が地層のように分かれていて、 縦に筋状の細かい亀裂が走っていた。 物体は住宅地の中で、家と家の間の道路上に、その姿の一部を現していた。 私はリビングのソファに座り直し、この状況が夢なのか現実なのか考えた。 あまりにも、今いる部屋の空間がリアルだ。私は再び立ち上がって部屋の中を歩き回った。 間違いなく現実の部屋の中に居る。そして再びソファに座り直した。 両手で自分の頬を撫でてみたが、しっかりとした皮膚感覚もある。軽くつねると、軽く痛かった。 間違いない。これは現実だ。 仕切りが開け放たれた、左隣の部屋の窓を通して、物体の様子を眺めてみた。 その物体は、どうやら氷のような雪で出来ているようだ。 私は以前からよく見ていた夢のことを思い出した。その夢の感じによく似ているのだ。 その夢とは、黒くて不気味な雲がモクモクと前方に立ちこめているという、あの夢のことだ。 雲は稲光を光らせ、頭上すれすれまで高度を下げながら、ゆっくりとこちら側へ接近してくる。 そして近隣の家という家を次々と破壊し、やがて家の中にまで侵入し、私は逃げ惑う。 いや、これは夢だろう。そう思った瞬間、物体が動き出した。やはり、これは夢だ。 夢であれば何でも可能になるはずである。まず何を可能にすべきだろうか…。 一瞬、エロい事が脳裏を過ったが、思いとどまった。 今、私が最も必要としているものは何だろう。私は立ち上がって、ウロウロ歩きながら考えた。 すると突然、物体の一部が壁を突き破って部屋の中に侵入し、 猛スピードで、そのまま右側の壁を突き破って出て行った。 なんてことをしてくれるんだ…。 物体は氷で出来ているようだ。 壁を破ったときの衝撃で一部が破損し、破片が飛び散っていた。 そして物体の第二波が、今にも部屋の中に侵入しようと待機している様子が、 大きく破かれた壁の外に見えていた。 外はすっかり陽が沈み、辺りは闇に包まれようとしていた。 赤や緑の電球のようなライトが8つ、物体から光り始めた。 私は、これが夢である、という認識があるおかげで、全く恐怖心を持たずにいられた。 再び物体の一部が部屋に侵入してきた。 私は物体を蹴飛ばし、パンチを食らわした。氷というよりも、固めの雪で出来ていて、 素手でも破壊させられそうだ。 次から次へと物体が侵入してきたが、私はパンチとキックで応戦した。 物体を破壊していくうちに、雪の中に埋まった、人形のような地球外生命体が姿を現しはじめた。 それは、雪の物体から片腕を突き出していた。 私はその片腕を、まるでロープでも結ぶかのように腕自体を、止め結びで結んだ。 それが果たして効果的なのかどうかは疑わしいが、 「どうだ。これで手出し出来ないだろう」と言ってやった。 物体から何やらブツブツ聞こえてきたが、何を言っているのかさっぱり分からなかった。 「人の部屋をこんなにしやがって、一体どうしてくれんだ。まったく…」 そう言いながら部屋の中をぐるりと見回すと、部屋の中に、 『2001年宇宙の旅』で出てくる冬眠カプセルのような、カプセルが置いてあった。 カプセルの中には、フリースのような素材の、ウエットスーツのように上下がつながった、 フロントジップアップのスーツと、白人男性のようなマスクが入っていた。 *************************************************************************************************** …と、ここで目が覚めました。 なんともワケがわからない夢で、自分でも意味が分かりません。 ]]>